塗装ブース自作 その1 何故塗装ブース自作に至る沼(みち)

塗装ブース自作に至る沼(みち)

 さて、現在同時進行中のアソビの中でも喫緊の課題は、プラモデルの塗装ブースを作る事です。半年ほど前まではプラモデルなんて20年以上触ったこともなかったのですが、なぜまたこんなことになってしまったのでしょう。
 半年ほど前に思いつきで食玩を購入したのですが、最近の食玩ってすごいんです。私が買ったのはエフトイズさんの『ウィングキットコレクション』と『艦船コレクション』だったのですが、とても精密なつくりになっている事はもとより、はめ込み式で接着剤不要、塗装済みなのでくみ上げるだけですぐ完成と言う手軽さもあり一気にトリコになってしまいました。先月からは食玩では飽き足らず、通常のプラモデルにも手を出す様になってしまい、ツール類も集めながら絶賛ドハマリ中です。

プラモデル上級者を目指すならエアブラシは必須?

 現在製作しているプラモデルは二作目で、フジミ模型の駆逐艦雪風、1/700フルハルモデルにエッチングパーツも取り入れて挑戦しています。初めてのエッチングパーツに苦戦しながらもちびちび作っていますが、どうしても挑戦したくなったのがエアブラシ塗装でした。1/700、それもエッチングパーツなどを使うと、小指のツメの先くらいのものすごく小さな部品を組み立ているのですが、筆塗りやスプレー塗装では細かなモールドやエッチングパーツが埋もれてしまう事が有りました。
 ウェブや雑誌でプラモデル製作について調べると、上級者になると塗装にはエアブラシを使っている様です。リアル、精密でかっこいいプラモデル製作にはエアブラシ必要に違いない!(と思いたい) と言うわけで、エアブラシ導入を決意した次第であります。

エアブラシ塗装に必要なもの

 さて、エアブラシ塗装に挑戦する事を決めたからには、どんなものをそろえればいいのか調査です。(実はこの調査の工程が一番楽しかったりしますよね)
 調査の結果、おおよそ以下の道具をそろえればよい様です。

1.エアブラシ

 当然ですね。ハンドピースと呼ぶ様ですが、銃みたいな形で格好がいいですね。
 操作方法によってシングルアクション、ダブルアクション、トリガー式に分類されていました。
 サイズによる分類としてノズル径にφ0.2、0.3、0.5㎜の物があり、塗料の種類や一度に塗装出来る面積によって選択すれば良い様です。また、部品の交換により、一台のハンドピースで3サイズのすべてに対応できるタイプもある様です。
 塗料の供給方式による分類では、塗料のカップがハンドピース上方についていて塗料の重さで供給される重力式と、下方についていて、ベンチュリー効果※で供給する吸い上げ式に分けられていました。

※ベンチュリー効果とは、流体の経路を絞ると流速が上がって圧力が下がる現象です。お風呂の水を洗濯機に吸い上げたりするときに使うアレですね。下がった圧力を吸引力として利用していて、この方式のポンプをアスピレーターと言います。

2.コンプレッサー

 圧縮空気を作り出す装置です。私は技術系の仕事をしているので、工業用の大型の機械は頻繁に使用するのですが、プラモデル塗装用の装置は初めて見ました。住居で使う事が前提ですので小型、軽量、低騒音が求められているのですが、写真や店舗での実物を見てびっくり。本当に小さくて物凄く可愛いですね。これだけで各種ラインナップをコレクションしたくなるぐらいです。

 わが家は一応戸建ではあるのですが、作業部屋の隣が寝室だったり、小さい子供がいたりするので低騒音が絶対条件です。
 こちらについてもいろいろとアソビながらトライしていくつもりですので改めてご紹介いたします。

3.塗装ブース

 今回の主役です。わが家の第2の掟として、異臭を出すべからずと言う絶対のルールが有ります。プラモデル製作当初に通常のシンナータイプの接着剤を使用して大変なバトルが発生してしまいました。
 現在はシンナータイプのモノは一切使用せず、臭気が気になりにくいリモネン系と臭気が少ない瞬間接着剤を組み合わせて使用しています。

 塗装に関しては、シンナー臭が避けられないスプレー缶は庭で吹いて、部屋では臭気の少ない水性系の塗料のみ使用しています。しかしながら、水性塗料でも時々臭気のクレームが出ており、エアブラシを使用するとなると部屋中への飛散は避けられず、臭気はもとより部屋が汚れてしまう可能性もあるため、強力な換気能力を持つ塗装ブースの導入は必須です。

 塗装ブースはタミヤやGSIクレオスを始め各社が販売していますが、AMAZONでえの実売価格をみても1万円以上がほとんどです。出来る事なら、換気能力も塗装ブース自体の騒音を抑えた高機能なものが良いのですが予算も限られているため自作に挑戦してみましょう!

4.ドライブース

 ドライブースは塗装した部品を乾燥させる装置です。シンナー系の塗料は乾くのも早いですが、水性塗料は乾燥に時間がかかります。完全に乾かすにはなんと2週間もかかるそうです。専用のドライブースも販売されていますが、食器用乾燥機を転用されている方も多い様です。AMAZONで調べてみると『山善(YAMAZEN) 食器乾燥器 YD-180(LH)』と言う乾燥機の最近のレビューは、ほとんど模型用の乾燥機としてのものでした。

 ドライブース自体は便利そうですが、エアブラシに限らない設備ですし、緊急性は低いと考えています。販売されている乾燥機自体は加熱式ばかりですが、エアブラシシステムで空圧回路を組むことになるので、せっかくなので真空式の乾燥機の自作にも挑戦してみたいところです。

5.その他小物類など

・ホース
 エアブラシ用ホースは大体φ6程度の樹脂ホースが使用されている様です。選定の目安は長さと耐圧性能と柔らかさでしょうか。コンプレッサーによっては1MPa近い高圧も出せる様ですので、使用する圧力によって注意する必要があります。安価なコンパクトタイプの場合は0.1MPa以下の使用圧のコンプレッサーが多いのですが、この場合は耐圧性能は特に気にしなくても問題ないでしょう。
 また、エアブラシ用のホースには継手がついている事がほとんどです。継手のタイプによって、ハンドピースやコンプレッサーとの接続が出来ない場合がありますのでここにも注意が必要です。

・接続部品

 ホースについている継手と接続相手の継手が合わない場合は別途変換継手を使用する必要があります。カタログ等で見ると、エアブラシ部品の接続はPS(細)とか1/8(S)とか書かれています。また、ブラシやコンプレッサー側は雄ネジで、ホース側が雌ネジになっている様です。
 1/8(S)と言うのはおそらくいわゆる一分(いちぶ)のねじのことだと思うのですが、PS(細)はさらに細いネジ規格の様です。変換部品も販売されていますので、必要な場合には購入しましょう。


・ゲージ(空気圧計)

 エアブラシ使用時には、エア圧力の調整が重要な要素となる様です。レギュレーターについている場合もありますが、無い場合は別途取付けも可能です。
 ゲージの目盛には、最大値が0.1MPaの物や、1.0MPaのものがあります。使用する圧力によって選択すれば良いでしょう。私は比較的低圧で使用する事が多いと思いますので、0.1MPaのものも準備したいと思います。ただし、感覚だけで操作する事も可能だと思いますので、無ければ無いでなんとでもなるのではないでしょうか。

・レギュレーター(空気圧調整弁)

 エアブラシへ送り込む元圧を調整する弁です。圧力計やエアフィルターのついているものなどいろいろなタイプがあります。コンプレッサーに搭載されている場合もありますので、必要に応じて取り付けるものですね。低圧でしか使用できない小型のコンプレッサーでは必要ないでしょう。レギュレーターを取り付けることでただでさえ低い圧力がさらに低下してしまいます。

・エアフィルター

 エアブラシへ送る空気から、粉じんやミストを取り除きます。粉じんが入る事はほとんどない(もし入ったら、コンプレッサーの異常を疑うべきでしょう)とは思いますが、高圧の元圧を発生させた場合、配管内に結露※が生じる場合があります。この結露による水滴がエアブラシに送られると、塗装トラブルの原因となります。

※結露とは、空気中の水分(水蒸気)が壁面などに付着して水滴となる現象です。コンプレッサーで急激に圧縮された空気は、空気そのものが持つ熱エネルギーも圧縮されて温度が上がります。これを断熱圧縮と言います。その後エアホースを通じてハンドピースに送られる過程で空冷されるとき、圧縮空気の露点を下回ると水蒸気が液化して結露水となります。
 この場合、エアが十分に冷やされるハンドピース近くで結露する事が多い為、エアフィルターはなるべくハンドピースよりに装着するべきです。また、コンプレッサーからエアタンクへ経由させると圧縮空気がエアタンクで冷却されるため、エアタンク内で結露が発生する場合があります。この場合はエアタンクについているドレン放出口からドレン水となった水を取り除く事も出来ます。

・洗浄ボトル

 使ったことが無いのでよくわかりませんが、ハンドピースの洗浄がやりやすくなる様です。これもおいおい入手したいと思います。


講釈師見てきたようななんとやら

 などと申しますが、はい、すいません。まだエアブラシなんて使ったことはありません。なのに調べ物をし過ぎて分かったような気になってきました。空圧回路は仕事でも良く使いますので特に間違った記述は無いとは思うのですが、エアブラシに係わるところは全くの未経験者です。
 次回以降はさらに自作ブースに特化した調査結果と自作計画についてご紹介したいと思います。





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